【わかばのきもち】

もう何度の夏を過ごしたか忘れたけど、青春という言葉はかなり前に遠のいて、もう手の届かないところにいってしまった。
自分の知らないうちに通り過ぎてしまった、と言うのが正解かも知れない。

わかばがその青さを存分に発揮する季節は、とても短い時間だ。
しかし、精一杯輝いている魅力的な一瞬に気づかず青葉へと成長する。
無知で、臆病で、根拠のない自信に満ちあふれたあの頃に、もう戻りたくない反面、その苦笑に値する思い出は、表現のできない暖かさを少しだけ持っている。
やがて社会の常識という雨や風や太陽を受け、そのうっすらとした暖かさは消えていき、強く、しっかりとした根を大地と共有する。
逞しく成長したわかばは、もうあの頃には戻れない。

ちょっと悲しいけど、わかばのきもちは彼らにしかわからない。